更新日 : 2013-10-29 08:17:31
強い風にも負けないフレキシマツ
なにがすごいの?
フレキシマツは、北米中西部のロッキー山脈周辺に生えている高さ12~15メートルの木です。
ロッキー山脈のあたりは真夏でも最高気温が22℃、冬が長く、真冬には-20℃になることもあります。
とても強い風も吹きます。
そんな厳しい環境の中で、フレキシマツは300年以上も生きるのです。
どうしてフレキシマツは倒れずに生きていられるのでしょうか。
その秘密はとても太い根と、頑丈な幹そして風になびく枝にあります。
太い根はフレキシマツの体を地面にしっかりつなぐことができます。
幹はセルロース( 「
食べても使ってもおいしいナタデココ」)という繊維がねじれながら、繊維同士がからまるように育つので頑丈になり、強い風にも耐えられるようになります。
また、柔らかい枝がついているので、風が吹くと枝が動くことでフレキシマツに当たる風の強さを弱めることもできるのです。
どうやって役立てるの?
フレキシマツの構造には、厳しい環境に耐えるためのアイデアが隠されています。
強い風を木の枝によって弱めるのは、家の周りに木を植える防風林という形で、昔から利用されています。
それから、災害時にはテントやプレハブをすぐに作らなければなりませんが、頑丈な根やねじれた幹のような部品を用いれば、簡単に丈夫な部屋を作ることができそうです。
どんな研究をしているの?
フレキシマツはアメリカの乾燥地域で長生きする特別な種類の木として、様々な観察や研究がされています。
フレキシマツの種子はリスなどの小動物や鳥たちの貴重な食べ物です。
また、それらの動物によって種が運ばれるため、フレキシマツは様々な場所で育ちます。
特に同じ地域に生えている他の木よりも、幅広い標高(北ダコタ870メートル~コロラド3400メートル)に分布しています。
異なる場所に生えているフレキシマツを比べると、(周りの温度によって木の隙間の大きさは変わりますが、)フレキシマツの成長や形は生息地の標高や気温とは関係がありませんでした。
このことから、フレキシマツは環境の変化にも対応できる強い体を持っていることが分かりました。
どんな技術開発ができるの?
気温などの影響を受けにくいフレキシマツの特徴を使えば、風や気温が厳しい環境で利用される物などをもっと丈夫にできそうです。
橋などの建築物、電信柱、風を受けて走る自転車、力がかかりやすい機械部品などです。
【参考】
・A. W. SCHOETTLE2 AND S. G. ROCHELLE, MORPHOLOGICAL VARIATION OF PINUS FLEXILIS (PINACEAE), A BIRD-DISPERSED PINE, ACROSS A RANGE OF ELEVATIONS1, American Journal of Botany, 87(12), 1797–1806, 2000