更新日 : 2013-09-18 19:38:04

食べても使ってもおいしいナタデココ

なにがすごいの?

バクテリアセルロース(左)と植物セルロース(右)  バクテリアセルロース(左)のほうが繊維が細かく網目状であることが分かる
(C) フジッコ株式会社
『ナタデココ』というと最初にあの独特の食感が頭に浮かびますが、これはセルロースと言う繊維の素が成分に含まれているためです。

ナタデココの中には酢酸菌というバクテリアが棲んでいて、糖分を吸収することでセルロースをつくり出しているのです。
このセルロースはバクテリアセルロースと呼ばれ、周囲の温度が変わってもほとんど伸び縮みしないという特徴を持っています。

また、植物がつくるセルロースの1/100~1/1000の大きさで、100ナノメートルというとても細かい繊維であり、網目状の形をしているため軽くてとても丈夫です。

どうやって役立てるの?

バクテリアセルロースの持つ網目状の構造を利用して、ろ過膜や輸血分利用の血液フィルターを作ることができます。
さらには、血液がフィルターを通過する時間の違いを測定することにより、血液中の遺伝子の違いが測定できるため、がん診断にも応用することができます。

また、種々の材料をナタデココに加えることで、もとの材料に優れた機能を加えた、高機能複合材料を作り出すことができます。

どんな研究をしているの?

酢酸菌はバクテリアセルロースを分泌する反動で体を動かしているのですが、その動きをレールで制御することで、思い通りの形に材料をつくらせる研究が行われています。

様々な優れた特性をもつバクテリアセルロースですが、通常のものよりも生産コストが高くなってしまうため、より生産効率の高い培養システムを開発することが課題となっています。

どんな技術開発ができるの?

携帯電話など、通常のもののディスプレー部分は基板がガラスでできているため折り曲げることができません。
しかし、水分を抜いたナタデココに特別な樹脂を加えることで、厚さ1ミリメートル以下のやわらかい基板を作ることができます。
これによって紙のように折り曲げられる超薄型ディスプレー試作型を作ることに成功しています。

また、血液測定装置の試作機もすでに開発されており、実用化まであと一歩という段階まで来ています。

【参考】
・Newton 8月号 vol.26 No.8 p13
九州大学バイオアーキテクチャーセンター バイオマテリアルデザイン研究室
京都大学生存圏研究所

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