更新日 : 2012-12-27 11:06:33

縮れて蒸れない羊の毛

なにがすごいの?

羊の毛は、他の動物と違って縮れた毛で体が覆われていています。
ウールは英語で縮れた毛を意味し、モヘアなどのまっすぐな毛と分けられています。

大昔の羊は、外側に真っ直ぐな毛、そして内側に縮れた毛の二つの毛質を持ち合わせる動物でした。
けれども、真っ直ぐな毛は糸を紡ぐ(何本かの繊維を縒り(より)合わせて、好みの長さ、太さの糸や紐などを作る)のに向いていないため、人には扱いにくいのです。
そこで、人間が長い時間をかけて改良に改良を重ねた結果、縮れた毛のみで体全体を覆う現在の羊が誕生しました。

羊の毛には湿度を調整する機能があり、昔から衣料として利用されてきました。

羊毛の断面を顕微鏡で見てみると、二重の円形構造になっているのがわかります。
繊維の表面は、私達の髪と同じようにウロコ状のキューティクルで覆われていて、このウロコ状の表皮の中には、細かな縮れ(クリンプ)がたくさんあります。
水滴をはじく性質を持つキューティクルの内側には、逆に水蒸気を吸収する性質を持つコルテックスがあるのです。

この二層の繊維がコイル状に絡み合うことで、縮れた構造を持つ羊毛は湿度を調整する機能を果たすのです。

どうやって役立てるの?

二重構造を持った繊維の縮れは羊特有の性質です。

縮れと縮れがからみあうと離れなくなる性質を利用して、フェルトが作られました。

どんな研究をしているの?

羊毛が何故縮れているのかは、学者の間で長年の疑問でした。
それを解決したのは、日本人の研究者です。

羊毛が種類の異なる細胞から作り出されることで、二層構造ができることを発見しました。
この二つの細胞は好むpHが異なるため、空気中の湿度、そしてその水分に含まれる酸やアルカリの変化に反応して、二層の成長に差が生じ、まっすぐ伸びずに反り返るのです。

こうして繊維はちぢれながら、コイル状に伸張するのです。

どんな技術開発ができるの?

羊毛は、その微細な構造から湿度を約60%に保つ性質があります。
これは、人間が最適に生活できる湿度と言われています。

また、ダニやバクテリアなどの細菌は湿度が70%以上にならない限り繁殖しないことが確認されており、羊毛には保温性を含め、断熱・調湿、そして除菌と、多くの機能があることがわかっています。
これに着目して作られた断熱材は、調湿性能があり、バクテリアの増殖を抑えることで、結露を防ぐこともできます。

また、音の伝わり方は湿度に影響されるので、音を吸収する吸音材としても利用できるでしょう。

【参考】
・INTERIOR TEXTILES TECHNICAL INFORMATION LETTER No13
NAGAO | 私たちは羊毛繊維専門商社です。
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