更新日 : 2013-11-02 06:56:30

空気の水を飲むマダニ

なにがすごいの?

ダニはクモに似た生き物で、大きくても1センチメートル、多くは1ミリメートルより小さく砂粒くらいの大きさです。
ダニにはたくさんの仲間がいます。
森など自然の中や人間の家に住んでいる仲間もいますが、小さいので私たちにはあまり見えません。

キララマダニ属の仲間は特別な技を持っています。
彼らが住んでいるのは暑い熱帯地方です。
私たち人間だと、そんな暑いところでは水をたくさん飲んでいないと死んでしまいます。
しかしキララマダニ属の仲間は、直接水を飲まなくても空気中に含まれている水分(湿気)を取り、数ヶ月間も生きることができるのです。
その秘密は口から出る特別な液体です。

まずマダニは2本の足をアンテナのように使って、湿度の高い、つまり水分がたくさんある空気を探します。
そのような空気を見つけると、口から水分を吸収しやすい特別な液体を出します。
この液体が空気中の水分を吸収し、マダニはこの液体を再度飲み込むことで、十分な水分をとることができるのです。

マダニが口から出す特別な液体は、吸湿性の食塩水でできています。
マダニの口から出されたときに、空気中の湿度が低いと結晶状の物質として乾燥したままになり、空気中の湿度が上がると、その結晶状の物質が溶けて、マダニは再び飲みこむことができます。

他にも同じ方法で水分をとるダニ仲間がいて、乾燥した場所に住むダニはより低い湿度の空気からも水分を取ることができます。

どうやって役立てるの?

ダニと同じように水分を吸収できる材料を作れば、湿度が高い時ほどたくさん水分を吸収できる強力な乾燥材ができます。

これによって、今までより物が湿りにくくなります。
例えば、お菓子などをより長い間保存できるパッケージの開発も期待できます。

また生活空間においては、加湿器を使わなくても、快適な湿度で生活ができるようになるかもしれません。

どんな研究をしているの?

水や食べ物を与えられていないダニが、どのように空気中から水分をとるか、またその時の条件などを調べる実験が行われています。

キララマダニ属の仲間は、湿度が85%より低いと水分をとることができません。
湿度が85%より高ければ、空気中から水分をとって生きることができます。

砂漠に住むゴキブリなど、空気中から水分をとる他の生き物についても研究されています。

【参考】
・Gaede K, Knulle W , On the mechanism of water vapour sorption from unsaturated atmospheres by ticks, JOURNAL OF EXPERIMENTAL BIOLOGY, 200(10), 1491-1498,1997
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