更新日 : 2013-08-18 07:52:54
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万能な眼をもつペンギン

なにがすごいの?

とても寒い南極を中心とした島々にオウサマペンギンは暮らしています。
彼らの眼の構造は、氷の上での生活に適応しています。
キラキラした氷の眩しさ、エサを採るために潜る暗い海、二つの世界を行ったり来たりして生きているペンギンの眼は、他の鳥たちとは全く違います。

昼間は、オウサマペンギンの瞳孔(ひとみ)は、小さな四角い穴のように縮まります。
しかし、エサを採るために暗い海で泳ぐとき、彼らの瞳孔(ひとみは)大きく丸く広がります。
ひとみの大きさと形の変化により、ペンギンはサングラスなしでも眩しさを感じません。
さらに、ライトを持たずに暗い海の中でも、エサを見つけることができるのです。

どうやって役立てるの?

彼らの眼の構造は、新しい視力検査の機器開発に役立つかもしれません。
明暗がどの程度分かるかという検査機器です。
白内障という眼の病気の早期発見や、手術後に患者さんの視力が変化したかどうかなど現在より一歩進んだ視力検査に役立ちます。

どんな研究をしているの?

オウサマペンギンの眼の仕組みについて、研究されています。
暗い場所と明るい場所では彼らの眼の網膜が感じる明るさは、300倍も変化することが分かりました。

また、眼球の表面を覆う角膜が、比較的平らなので、光を屈折する力が弱いことも分かりました。
角膜は、眼が光を感知すると光を屈折させます。
人間は水に入っても、角膜の屈折力を変えることができません。
そのため水中では、物をよく見ることができず、地上に居るときと同様に眼の前に空気の層をつくり屈折率を調節するため水中ゴーグルを使っています。

しかしオウサマペンギンは角膜の屈折力が弱いので、水中でも位置や距離感を把握できるのです。

どんな技術開発ができるの?

オウサマペンギン眼のようなコンタクトレンズを作ることができれば、様々な視力障害を持つ人の生活に役立つ可能性があります。

例えば夜盲症の場合は、「暗いところで見にくい」という症状を改善できるかもしれません。
また昼盲と呼ばれる「明るいところで見にくい」という症状も改善できるでしょう。

【参考】
・Martin, Eye structure and foraging in King Penguins Aptenodytes patagonicus, Ibis, 141, 444-450, 1999
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