更新日 : 2013-07-26 21:59:02

土壌や落ち葉で暮らすダニ達の水補給法

なにがすごいの?

森の土は、落ち葉などを微生物が分解した成分が混ざっているので、たくさんの栄養を含んでいます。
そのような土の中には様々な生き物が暮らすことができます。

ダニは、土壌や落ち葉の中で生活している節足動物の中で、最も多く、体長も小さい動物です。
ダニも土の中に住む節足動物の仲間です。
節足動物とは、カブトムシやカニのような、殻と関節をもつ仲間のことをいいます。

ダニはクモに似ていて、大きくても1cm、多くは1mmより小さく砂粒くらいの大きさです。
土の中にいる節足動物のなかでも特に数が多く、また人間の家に住んでいる仲間もいます。
呼吸には体の両わきにある眼点という穴を使います。
彼らのえさはバクテリア・菌類・小さいダニです。
クモ・大きいダニ・ムカデなどに食べられてしまうこともあります。

ダニは、水がないところでも、必要なときに自分の周りから水蒸気として水分を吸収できます。
水を直接飲まなくても、土壌や落ち葉の中で生き続けることができるのです。
その秘密は口から出る特別な液体です。

まずダニは2本の足を使って、湿度の高い、つまり水分がたくさんある空気を探します。
そのような空気を見つけると、口から水分を吸収しやすい特別な液体を出します。
ダニはこの液体を再度飲み込むことで、空気中の水分をとるのです。

どうやって役立てるの?

ダニが水蒸気中の水を吸収する方法は、乾燥した地域での住宅に使うことができるかもしれません。
湿気のない地域でも、周囲の空気から水を建物内に取り込めるようなシステムが出来れば、室内で加湿器や除湿器を使わなくても湿度を制御することができます。
天気に関係なく、快適に過ごすことができるはずです。

どんな研究をしているの?

ダニの種類によりますが、周りの空気の湿度が76%から97%であればダニは水不足にならないことが分かりました。

吸血性の大型ダニ が水不足のときと同じような方法で、小型のダニも口から空気中に含まれた水分を摂取しています。
ダニが口から出す特別な液体は、吸湿性の食塩水でできています。
ダニの口から出されたときに、空気中の湿度が低いと結晶状の物質として乾燥したままになり、空気中の湿度が上がると、その結晶状の物質が溶けて、ダニは再び飲みこむことができます。

どんな技術開発ができるの?

空気中から水分を取りだせる材料の開発が考えられます。
この材料で作った容器が開発できれば、数時間、容器を開封することで空気から水を取り入れてくれるかもしれません。

災害時に備えた非常食には水が必要なものもあります。
しかし災害時は水が足りなくて、食べることができないかもしれません。
このように災害用物品の技術開発に役に立ちます。

また、水の少ない地域への食料の配達にも役立つでしょう。

【参考】
・Gaede K, Knulle W , On the mechanism of water vapour sorption from unsaturated atmospheres by ticks, JOURNAL OF EXPERIMENTAL BIOLOGY, 200(10), 1491-1498,1997
名前(必須) : メール :
タイトル(必須) :

※コメントの公開は承認制となっております。
※コメントを書き込んでも承認されるまでは表示されません。
※メールアドレスは管理者から直接メールがほしい場合に入力してください。入力しても表示されません。