更新日 : 2013-06-19 08:57:16

昆虫でも鳥でもない、ハチドリの羽ばたきホバリング

なにがすごいの?

ハチドリは、体長数センチ、体重数グラムのとても小さな鳥で、1分間に約80回もの高速で羽ばたいて、ホバリング(ヘリコプターのように空中に静止する)しながら花の蜜(みつ)を吸います。
ホバリング中の姿は、昆虫と見間違えるハチドリですが、その飛び方は鳥とも昆虫とも異なっています。

普通の鳥は、翼を打ち下ろす時に飛ぶための「揚力(ようりょく)」を得ています。
昆虫は、翅が上下動する時にそれぞれ同じだけの揚力を得ています。
ハチドリの場合は昆虫と鳥の中間で、翼の打ち下ろしで必要な揚力の75%を、翼を引き上げる時に25%を得ています。

昆虫の翅はとても柔軟で、飛ぶ時に裏返すことができますが、骨で支えられたハチドリの翼はそうはいきません。
昆虫のようにホバリングするために、ハチドリはギリギリまで体を小さく軽くし、そして鳥でも昆虫でもない翼の使い方を身に付けたのです。

どうやって役立てるの?

ハチドリ型ロボット
(C) (千葉大学大学院工学研究科 劉浩
昆虫ではあまりに小さくて難しかったことですが、ハチドリを真似た小型ロボットにカメラを搭載すれば、災害などで倒壊した建物内部など、人が直接入ることが難しい場所での調査や人命救助に役立てることができるでしょう。

また、警察の犯罪者追跡や、火星探査などでも役立てる事が期待されています。

どんな研究をしているの?

実際に、ハチドリが羽ばたく時にできる空気の渦が特殊な方法で撮影され、その飛び方の特徴が明らかにされました。
また、昆虫などが羽ばたいて飛ぶ時の空気の流れが、スーパーコンピューターで分析されました。

これら分析結果を元に、千葉大学工学部では、リモコン操縦でハチドリのように上下左右に自在に羽ばたいて飛ぶことのできる、重さ2.6グラムの小型ロボットを製作しました。
ロボットはポリエチレン出来た薄い4枚の羽根を持ち、超小型モーターを充電池で動かすことで、一秒間に最大30回という高速で羽ばたくことができます。

今後は、カメラを搭載してホバリング(羽ばたきながら空中の一点で静止すること)する小型ロボットを製作する計画が予定されています。

アメリカでも同様のハチドリ型飛翔ロボットが製作されており、こちらは20秒ほどですが、空中でホバリングすることも可能です。

どんな技術開発ができるの?

災害現場での調査や人命救助のために、真っ先に飛び込むのが消防や救急隊員ではなく、カメラやセンサーを搭載した小型の羽ばたきロボットになるかも知れませんね。

飛ぶスピードは速くないけれども、小回りが利く上にホバリングして空中で静止もできるため、人が入っていけないような狭い所で活躍することができるでしょう。
名前(必須) : メール :
タイトル(必須) :

※コメントの公開は承認制となっております。
※コメントを書き込んでも承認されるまでは表示されません。
※メールアドレスは管理者から直接メールがほしい場合に入力してください。入力しても表示されません。