更新日 : 2013-06-02 09:02:00
シコンヒワのきれいな青色の原因はメラニン
なにがすごいの?
南米コスタリカには、たくさんのきれいな鳥たちが住んでいます。
シコンヒワというスズメの仲間の小さな鳥は、輝く青色の羽を持っています。
その色を作りだしているのは、なんと人の肌色と同様に紫外線防御のために作り出しているメラニンだったのです。
メラニンとは、紫外線を浴びたときに、メラニン生成細胞が作り出す黒褐色の色素です。
私たちにとっては、シミの原因というイメージがありますが、シコンヒワの羽の輝きの秘密は、羽の中にメラニンの粒が並んで光を反射することにより作り出された色なのです。
「美肌の大敵」のはずのメラニンが、人間を魅了するきれいな色を作りだしているのです。
どうやって役立てるの?
太陽の光の下できれいな色を、南米に行かなくても私達は目にすることができます。
この素材で、夏の晴れた日に着ていくTシャツやリゾートでのドレスを作ることもできます。
眩しい太陽の下で、輝く色合いの洋服は、着る人だけではなく周囲の人までも自然の美しい色を身近に感じられることでしょう。
どんな研究をしているの?
シコンヒワの美しい羽の色は、結婚相手を探しているオスに特有であることがわかりました。
この輝く青色は結婚式の衣装とも言えます。
そのきれいな羽を分光計で分析すると、羽の色は予想していたよりも特に紫外線領域側に、色の波長が広がっていることが明らかになりました。
そして、メラニンを並べてシコンヒワの羽の輝く青い色を再現する、薄いフィルムを作り出すことに成功しました。
どんな技術開発ができるの?
光を反射して、輝いた色を出す素材を開発できれば、何度洗濯しても色落ちしない衣料が作れます。
またこの素材で作ったパネルをオフィス街に立てかければ、電気を使わずに太陽の光を利用した看板を作れるかもしれません。
【参考】
・Rafael Maia et al., Iridescent structural colour production in male blue-black grassquit feather barbules: the role of keratin and melanin, J. R. Soc. Interface, 6, S203-S211, 2009