更新日 : 2013-05-02 09:58:13

仕事の分担を指揮するミツバチダンス

なにがすごいの?

私たち人間は言葉を使って情報伝達をしますが、ミツバチはダンスを踊って情報伝達をします。
ミツバチはただ踊っているのではなく、実は大切な蜜源(蜜の取れるお花畑)までの距離や方角、そして蜜の質までも示すことができるダンスを踊っているのです。
蜜を発見したミツバチが蜜源をダンスを踊って教え、かつ蜜の量に適切なミツバチの数がその場所に向かいます。
また一箇所に多くのミツバチが集まりすぎることがなく、各蜜源にそれぞれのミツバチが配置されて作業を行う合理的なダンスです。

このダンスは、何千匹という群れで行動するミツバチのために特別に振付け構成され、それぞれのミツバチが幾つかの蜜源へ向かい蜜を巣まで戻ってくるまでのグループ分けを行い、群れの共同作業によってよりよい蜜を最大限に採取します。

どうやって役立てるの?

ミツバチの効率的な群れの共同作業は、ダンスによるコミュニケーションによって効率化が図られます。
働きバチの寿命は数週間といわれており、ミツバチたちは短い時間を有効に使い、朝から晩まで休みなしで働いて、蜜を集めるのです。

例えば、外出先で突然、「カレーを作る材料、できたらお箸も買って来て!」と頼まれたときどうしますか?
お鍋は金物屋で、野菜は八百屋で、お箸は雑貨屋で・・・お店が同じ場所になく、しかも友達も同伴という場合、どこからどう優先的に買い物するのか考えてしまいますよね。

ミツバチの労働調整法を活かして、お母さんは何を料理して、お父さんは・・・と限られた時間で効率的にカレーを作る手はずが整うかもしれません。
私達が抱えている色々な複雑問題を解決することが可能です。

どんな研究をしているの?

オーストリアの動物行動学者カール・フォン・フリッシュは、ミツバチが「8の字ダンス」を踊り蜜源を知らせることを発見しました。
その後、ミツバチのダンスは8の字ダンス以外にもあり、それぞれのダンスの示す意味が研究されました。

お花畑で蜜を集め終えた働き蜂は、巣に戻ります。
身震いダンスは、巣に蜜を貯める蜂をリクルート(スカウト?召集?募集?集める?)する為のダンスで、巣で蜜を受け渡すときの待ち時間によって踊るか踊らないかが決まります。
もし、蜜の受け渡しに、時間がかかる場合(50秒以上待つ)、蜜を貯める働き蜂が不足気味、ということになるので、巣の中に入って身震いダンスをして、貯める働き蜂が不足していることを知らせます。

アカシアやレンゲ畑の蜜のように質の良い蜜だと判断されれば、蜜を貯める働き蜂がすぐに蜜を受け取ってくれます。
受け渡しが終わると、8の字ダンスでお花畑の方向(ダンスする方角)、距離(羽を震わせる音の長さ)、蜜の質(ダンスを踊る長さ)などを他の蜂に伝えます。
こうして働き蜂は、より質の良い蜜を効率的に集めているのです。

どんな技術開発ができるの?

蜂のダンスを研究するアメリカのある研究者は、ハチの労働調整がジョブショッピングスケジュール問題(組み合わせ最適化問題)を解決する鍵になることを発見しました。
ジョブショッピングスケジュール問題とはすべての仕事に要する時間を最小にするようなスケジュールを求める問題で、どちらも幾つかの仕事を効率的にこなさなければならないという共通点があります。
この研究者は働き蜂が蜜を採取する過程にアルゴリズムを見つけ出し、モデル化、コンピューターシミュレーションすることに成功しました。

人間の10万分の1しかない微小脳であるにも関わらず、高度な社会性を示す蜂には学ぶことが多いですね。

【参考】
なぜだろうの研究所 | ムシテックワールド
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