更新日 : 2013-04-14 22:08:24
上へ上へ伸びる植物
なにがすごいの?
植物は大まかに分類すると、コケ植物→シダ植物→裸子植物→被子植物の順に進化したと考えられています。
水辺で生きるコケ類は、水を沢山吸い上げる必要がなかったので、地を這う、背の低い植物でした。
しかし、これに限界を感じた植物は、光を求めて上へ上へと進化しました。周りの植物よりも光を吸収できるように、葉を高い位置につけるようになり、地中の水をその葉の場所まで運ぶ、特別な管(
導管30階まで水を届ける木のエレベーター)を発達させます。
あまりにも背の高く重すぎる植物は、自分を支えきれなくなってしまいます。
そこで、植物は自分の茎を太くするようになり、背が高くても倒れない木が誕生したのです。
どうやって役立てるの?
(C)
Brake kurasek
植物が光を求めて上へ上へと進化していった過程は、私たちの生活、都市部の人口増加によって高層化してきた過程と似ています。
過密化した都市部で、私達が直接食べる野菜や家畜の餌となる穀物を育てる農地を新たに作るのも困難です。
また、都市から離れたところで、農地を広げようにも、未耕作地の大部分は土壌や環境がわるく、開拓することは非常に難しいのです。
植物のように平たい農地から、高層ビルのように上へと進化する垂直型農業は、こういった都市問題や農地問題を解決する切り札となるかも知れません。
どんな研究をしているの?
2007年からアメリカの研究で、「垂直農業」計画が取り組まれています。
温度や湿度、灌水など植物を育てるのに必要な機能をすべてコンピュータによって制御による「高密度垂直栽培システム」も開発されました。実験によると、これまでの農業技術に比べ、たった5%の水量で、20倍もの作物を生産できたそうです。
どんな技術開発ができるの?
現在、アメリカの研究所を中心に、高層ビルの中で野菜や果実を栽培しようという「垂直農業」が計画されています。
土地を有効活用して、農作物を栽培するというアイディアです。
ビニールハウスのような屋内農業の技術を応用して、透明なガラスの窓から日光を取り入れ、土のかわりに栄養を混ぜた液体で植物を育てる、水耕栽培を行います。
ビルに必要なエネルギーは、太陽光発電や風力発電でまかないます。
屋内で作物を栽培するので、天災による被害を受けることがなく、害虫や疫病からも隔離できるため、農薬や化学肥料を使用する必要もありません。
このことで、安定的に安心できる作物を栽培することができます。
また、「垂直農業」で必要となる水は、私達の生活から排出される汚水を浄化して使います。
更に、根から運ばれた水は植物が光合成することによって、浄化されます。浄化された水は水蒸気となって空気中に放たれるので、それを回収して、再利用することが可能です。
「垂直農業」は、これまでの農業と全く異なった、広大な土地や農耕地を必要としない、新しい農業スタイルができる可能性があります。
都市部はもちろん、作物の栽培に適さない砂漠や寒冷地しかし、この「垂直農場」があれば、このような環境の極地でも作物の栽培ができるようになるかも知れません。
【参考】
・
The Vertical Farm Project - Agriculture for the 21st Century and Beyond | www.verticalfarm.com(英語 動画有り)