更新日 : 2013-04-11 09:36:23
ヒマワリを陰で支えるオーキシン
なにがすごいの?
ヒマワリはキク科の植物で、夏といえば、黄色い花々が夏の青空によく映える風景は私達を元気にしてくれますね。
ヒマワリ(向日葵)は名前のとおり、日=太陽の動きに向いてまわることからつけられました。
ヒマワリ畑で写真を撮ると、被写体だけでなく、全てのヒマワリが見事にこっちを見てくれていますよね?
ヒマワリが太陽を追う姿は実に忠実で、それはヒマワリを一日観測してみるとよくわかります。
朝は東、夕方は西、太陽がしずんだら起き上がり、夜明け前にはもう東を向いて太陽が出てくるのを待っているのです!
これは、茎の成長を促す植物ホルモン(オーキシン)が、太陽の光のあたらない部分で多く作られるためです。
オーキシンが多く作られた部分は成長し、ヒマワリの頭が太陽のほうに屈折するのです。
どうやって役立てるの?
太陽を追うヒマワリのメカニズムを、光を集めてエネルギーを作る太陽電池に応用すれば、沢山のエネルギーを最大限供給することができるかもしれません。
どんな研究をしているの?
植物も動物と同じように、体を調節するホルモンを体内で分泌します。
植物が分泌するホルモンの1つにオーキシンと呼ばれる成長ホルモンがあり、このホルモンは、光を避ける性質があります。
若いヒマワリ(蕾を付け始めたヒマワリ?)が太陽を浴びると、光の当たらない側、つまり太陽とは反対側の茎の部分でオーキシンが多く作られ、それによって伸長成長するため、ヒマワリの頭は太陽の方に屈曲するのです。
一日を通して移動する太陽に反応しそれを避けるオーキシンが存在するために、ヒマワリの花が太陽を追いかけているように見えるのです。
このオーキシンは、花が咲く頃には成長が止まり茎が硬くなるので、太陽を追って向きを変えることもなくなります。
どんな技術開発ができるの?
オーキシンが太陽を避けることによって、太陽を追うヒマワリの花は、複雑な電気回路を持たない太陽熱収集システムが開発に活かされるかもしれません。
【参考】
・
scientist:柴岡弘郎
・瀧本敦『ヒマワリはなぜ東を向くか』 中公新書798、1986年