更新日 : 2013-02-08 16:33:09
脳を衝撃から守るクッション
なにがすごいの?
背骨をもつ私たち人間のような脊椎動物の脳の周りには「脳脊髄液」と呼ばれる透明な液体が存在します。
脳から背骨へとつながる脊髄は中枢神経系と呼ばれ、脳脊髄液はこの中枢神経の万能薬と呼ばれています。
静脈血が脳と脊髄の間に空いている穴(脳室)で加工されて脳脊髄液ができあがります。
脳脊髄液は脳に存在する4つ全ての脳室とや脳を保護する膜(くも膜)の間などに存在し、その容量は125~150mlほどになります。
このように脳脊髄液は脳をとりまいているので、私たちが急な動きをしたときに脳を衝撃から守ります。
また頭を打ったときは衝撃を吸収してくれるクッションのような役割をします。
また脳脊髄液が頭の中の血液の量と圧力を調節することで、脳がやわらかい弾力性を保つことができます。
どうやって役立てるの?
脳を守る脳脊髄液の働きは地震の多い地域での建物のデザインに役立てることができるかもしれません。
また衝撃に耐久性のある素材の開発に取り入れることができるかもしれません。
どんな研究をしているの?
脳脊髄液の働きについて研究されています。
脳脊髄液は脳を脳脊髄液の中に浮かべることで脳の重さを1400gから50gまで軽くする働きがあると言われています。
また脳の中で情報を伝達する物質(ホルモン)を運搬する働きがあることも分かりました。
さらに脳に有害な物質は、静脈血を介し脳から排出する働きがあることも研究されています。
さらに脳脊髄液は抗真菌性でカンジダやクリプトコッカスなど脳に炎症を起こす菌の増殖を阻害する働きがある液体であることも分かりました。
どんな技術開発ができるの?
自動車や安全装置の産業での技術開発が期待できます。
また医療の現場では、人工脳脊髄液の調整の開発も行われ、脊髄損傷治療に役立てることができないか検討されています。