更新日 : 2013-01-24 17:58:41
濃い霧の中を飛ぶ青いツバメの羽毛構造
なにがすごいの?
南アフリカにはアオツバメという濃い霧の中で餌をとるために飛ぶことができる鳥が暮らしています。
このアオツバメは空気がたくさんの水分を含んでいる霧の多い地域で生息するために最適な羽の構造をしています。
鳥の羽1枚をよく見てみると真ん中には太い羽軸というものがあります。
そして両側に枝のようについているのが羽枝と呼ばれています。葉っぱのようにも見えてきませんか?
鳥の羽をさらに拡大ルーペで見ると羽枝にはさらに細いたくさんの小羽枝と呼ばれる毛が左右に並んでついています。
アオツバメの羽は、小羽枝のつきかた(構造)によって他の鳥に比べて水をはじく能力がとても高いのです。
どうやって役立てるの?
アオツバメの羽毛の構造から水をはじく力(撥水性)に優れた衣類が開発されるかもしれません。
どんな研究をしているの?
羽毛の構造の撥水性は、小羽枝の半径(R)と、隣り合った両側の小羽枝の距離の半分(D)との関係式(R+D/R)で調べることができます。
実際にアオツバメの羽毛を調べると、頭や腹部などについている羽毛は、他の鳥よりもとても撥水性が高いという数値が得られました。
また、実際に飛ぶときに使う翼の羽毛の撥水性は他の鳥と同程度で、水に濡れることで水への抵抗を高めていると考えられます。
アオツバメは体の場所によって羽毛の構造を変化させ、霧の中で活動することができると考えられています。また最近では環境の変化から、このアオツバメの数は激減し保全運動も盛んに行われています。
どんな技術開発ができるの?
建築資材や電化製品などの産業分野で、表面の微細構造を撥水性の高い構造に変える開発にアオツバメの羽毛構造が活かされるかもしれません。
【参考】
・Evans, S. W. and H. Bouwman. , The influence of mist and rain on the reproductive success of the blue swallow Hirundo atrocaerulea., Ostrich, 71, 83–86, 2000