更新日 : 2013-01-06 10:54:17
樹木を支えるクッション細胞壁
なにがすごいの?
(C)
Momoko Minakawa
私たちが跳んだり跳ねたり、時には転んだりする体育館の床に木材が多く使われているのはなぜでしょうか。
それは、木が衝撃を吸収してくれるからです。
木が衝撃を吸収する理由は、強風や豪雪に見舞われても倒れないよう、バネのようにしなやかな構造にあります。
木を構成する無数の細胞壁は、衝撃に耐えられるように自ら硬くした細胞壁が骨組みの役割を果たします。
強風や豪雪があたっても、クッションのように細胞壁が変形して衝撃を吸収します。
また、細胞壁を構成するセルロースという物質は、糸が絡み合ったような繊維状の形をしています。
外から力が加わると、この繊維がグッとしなり、衝撃を和らげる仕組みです。
これは、トランポリンの上でどんなに高く飛んでも、トランポリンがしなることで、足に衝撃が直接こないのと同じメカニズムです。
樹木の細胞壁は、内臓を守る私達の骨のような骨組みとなって巨大な体を支えているのです。
どうやって役立てるの?
衝撃を吸収する細胞壁を持つ木は木材として、体育館や病院の床を始め、あらゆる所で私達の生活を支えています。
また、細胞壁(セルロース)の構成は、2つ以上の異なる素材を一体的に組み合わせた「複合材」を製造するときのヒントとなるかもしれません。
どんな研究をしているの?
ストレスによって細胞壁がどのように変化するのか研究されました。
植物によっては、外からのストレスが加わると細胞壁の壁を厚くすることがわかりました。
また、この壁はウイルスや菌などが侵入したとき、それをブロックする役割をすることが分かりました。
どんな技術開発ができるの?
細胞壁は、セルロース、リグニン、そしてヘミセルロースなど幾つかの物質が複合して構成されています。
そしてその細胞壁を構成する物質は木の種類によって少しずつ異なります。
細胞壁は、植物の中で最も複雑で多様化した存在で、それぞれの物質の詳しい構造や役目は未だわかっていません。
樹木がサバイバルの為に作り上げた細胞壁の生成プロセスが解明すれば、より強度のある新しい複合材の開発の鍵となるかもしれません。