更新日 : 2013-01-06 10:50:37
冷たくて甘いメープルシロップ
なにがすごいの?
北海道は日本の最北端に位置し、観測史上最低気温となる-41.0℃を記録したこともあります。
私達人間が、防寒もしないでこのような極寒の地へ行ったならば、凍傷(細胞が寒くて死んでしまう)を負ってしまうでしょう。
そんな寒さでも、樹木は生きています。
樹木の種類によって、耐えられる温度もまちまちですが、中にはマイナス70℃まで耐える樹木もいます。
彼らの防寒法とは一体なんでしょうか?
そのヒントは糖(とう)にあります。極寒の地に生息する樹木は、栄養分である糖を細胞の中にどんどん合成して貯め込みます。
外では、水がかっちかちに凍っていても、糖分の多い液体は、凍らないでいられるからです。
冬に、ほうれん草や白菜が甘みを増して美味しくなるのは、寒さに耐える野菜たちのお陰だったのですね。
どうやって役立てるの?
寒さによって植物が合成する濃度の高い糖を利用したのが、お馴染みのサトウカエデから抽出されるメープルシロップやブドウから造られるアイスワインです。
細胞は、凍害や霜によって一度凍って死んでしまうと、元に戻ることはありません。耐凍性のある樹木の遺伝子が解明すれば、寒さに強い新しい新種の開発に繋がるかもしれません。
どんな研究をしているの?
耐凍性をもつ植物の研究が行われました。
耐凍性が増加するとき、特異的な遺伝子の指令で酵素が活性化します。
その結果、変化した糖質・タンパク質・脂質などの働きで凍結傷害を受けやすい細胞膜が保護され、耐凍性が増大することがわかりました。
耐凍性をもつには、まず、周囲の温度低下を認識する能力が必要です。
生物が温度変化を認識する仕組みについても研究がされています。
どんな技術開発ができるの?
植物の耐凍性をコントロールする遺伝が働く仕組みが解明されれば、耐凍性を持たない作物の遺伝子に組み込むことで新しい耐凍性をもつ品種ができます。
冬に栽培される作物の真冬の凍害や、露地野菜等の霜害にも絶える新しい品種を、今まで輸入やハウス栽培など環境への付加価値の大きい野菜に頼っていた北海道や東北地方で栽培することで、自分の土地で作ることが可能になります。