更新日 : 2012-12-27 10:56:04
空気をまとって夏に涼しく冬に暖かい羊
なにがすごいの?
羊の体は、モコモコと毛で覆われていてとても暖かそうですよね。
羊毛の繊維の中には無数のエアポケットがあり、そこにたくさんの空気が封じ込められるようになっています。
空気の層で外気を遮断することできるので、高原の厳しい冬にも耐えられるのです。
しかし、暑い夏が来たら、毛皮で覆われた羊は大丈夫なのでしょうか?羊が夏を乗り切る秘密は、モコモコした羊の毛に隠されています。
厚さがおよそ8cmにもなる羊のモコモコした厚い毛の層が外の熱を遮断します。
このモコモコとした羊毛の層の体積の60%が空気です。
空気には熱を伝えにくい性質があり、この空気をエアポケットに封じ込めることで外の暑い空気を遮断していたのです。
メリノウールで有名なメリノ種のように毛が密に生えた羊は、空気をまとって寒い冬には暖かく、暑い夏には涼しくしていられるのです。
どうやって役立てるの?
空気を閉じ込めて熱を遮断する羊毛は、保温性にも非常に優れているので、セーターやマフラーなど衣料の材料として使用されてきました。
羊毛が持つ空気の層は、パイプや壁の断熱材、電熱装置などの電気機器、アウトドア用の衣料やテントなどに応用することができるでしょう。
エアポケットに長時間液体を浸み込ませる事も可能なので、ペンの先や給油芯の材料としても使用できます。
また、羊毛の構造をヒントに、熱の伝導率が少ない新しい繊維ができるかもしれません。
どんな研究をしているの?
羊毛を構成するタンパク質である「αケラチン」は、多くのアミノ酸がらせん型の鎖状に結びついて形成されています。
これによって、羊毛の一本一本が縮れ、お互いによじれる事で繊維がフェルト化し、その繊維と繊維の隙間(すきま)が多孔質構造=エアポケットとなります。
どんな技術開発ができるの?
羊毛に似た肌触りの化学繊維であるアクリルは、まさに羊毛の暖かさを模倣して造られました。
アクリルは、摩擦や引っ張りに対しても耐久性を発揮するので、衣料などの繊維だけではなく、強度を必要とする工業製品において実際に使用されています。
【参考】
NAGAO | 私たちは羊毛繊維専門商社です。