更新日 : 2013-11-21 07:13:55
暖かいけど臭い、ザゼンソウのお家
なにがすごいの?
ザゼンソウはアメリカ、日本などの寒い湿地に分布するサトイモ科の植物です。
肉穂花序(にくすいかじょ:花弁のないたくさんの花が集まって棒状になったもの:写真の赤い部分)が、僧侶が座禅を組んでいる姿に似ていることからこの名前がつきました。
ザゼンソウは、まだ雪のある早春に花を咲かせる時と、自ら熱を出して周りの雪を溶かしてしまいます。
ザゼンソウは、発熱して体温を20℃に維持することで、花を寒さから守ります。
また、花粉を運んでくれるハエをおびき寄せるために悪臭を放ちますが、熱を発することで臭いの強さが倍増するのです。
どうやって役立てるの?
(C)
宮崎大学 稲葉丈人
ザゼンソウが冬の寒さから身を守るメカニズムを解明することで、低温に弱い作物の耐寒性を高めたり、寒さに優れた植物を改良したりすることができるかもしれません。
どんな研究をしているの?
ザゼンソウの発熱のメカニズムについて研究が行われました。
その結果、ザゼンソウには、ミトコンドリア(動植物の細胞内の小器官、細胞が生きていくために必要なエネルギーを供給する)が数多く存在することが分かりました。
雪が降る寒いときでも、ザゼンソウはミトコンドリアで行われる呼吸速度を倍増させることで熱を発生させているのです。
ザゼンソウには、発熱しないジャガイモの24倍、カリフラワーの360倍もの数のミトコンドリアが含まれていることが判明しました。
どんな技術開発ができるの?
ザゼンソウの発熱、熱産生機能を工学的に応用することによって、化石燃料を必要としない生物学的発熱システムの開発にも期待できます。
【参考】
稲葉研究室|宮崎大学IR推進機構|Inabalab.