小さな巻貝「タマキビ」は、満潮のときでも海水に浸らず波しぶきがかかる程度の岩のすき間にくっついて生活しています。
岩から剥がして、海の中に入れると急いで水面に上がってくるという不思議な行動をとります。
タマキビは潮が引く前に足を殻の中に入れて蓋を閉じ海水を殻の中に閉じ込めているので、長く乾燥した状態でも長時間を生き延びることができます。
さらにタマキビの蓋は真水と乾燥した風が入ってくることも防いでいます。
そして満潮になり周りの岩が湿るとタマキビ貝は殻からでて動きまわり藻類をかじって食べます。
このように潮上帯といって少しの海水だけで生き延びるタマキビは蓋をもち乾燥に耐えることができるのです。
タマキビは干潮時にはこの蓋に入り、さらに体内から分泌した粘液ですっかりと殻の一点を固めて岩にはりつき、17週間も乾燥に耐えることができるという実験結果があります。
また、タマキビは海水に含まれる塩分の刺激により殻から出てくる行動を起こすことも分かりました。
タマキビは世界中の潮上帯に生息し、夏の暑い岩場や冬の凍った岩場では殻の一点で逆立ちする様子が観察され温度にも抵抗力が強いと言われています。潮上帯には他の肉食の海の生物は追って来ることができないので、タマキビは温度と乾燥に抵抗力をつける戦略をとったと考えられています。
【参考】
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『海のはくぶつかん』Vol.23 No.4 p.2