更新日 : 2013-10-12 13:57:45
節あってこそのしなやかな竹
なにがすごいの?
中国原産の竹は、成長がとても早く、日本にも生息する孟宗竹(もうそうちく)は、1日で1mも伸びることが観察されています。
竹の太さは、樹木の幹と比べると比較的細いのにも関わらず、その引っ張り強度(両側から引っ張りに耐える強さ)は鉄筋よりも2~3倍強いと言われています。
この強さの秘密を握る鍵は、竹の幹(桿)にある節にあります。
竹の幹は、材料を最小限にして早く成長するために、中がパイプのような空洞になっています。
ねじれたり、割れたりして倒れてしまいます。
幹の太さと肉厚に応じて、空洞のパイプが横からの力で倒れたり、押しつぶされないように保持するのが節の役目です。
背の高い竹に節があることで、台風や強風による横からの力が当たっても、その力に耐えるように、竹は折れにくくしなやかなのです。
どうやって役立てるの?
竹は、昔から船の材料として使われてきました。
また、竹の幹(桿)を内面で分ける「節」をヒントに、万が一の時の浸水を防止する船の防水区画が作られました。
竹取物語の一節「よろずの事に使いけり」にあるように、当時の生活用具の全てがしなやかな竹から作られていました。
扇子(せんす)をはじめ、団扇(うちわ)・提灯(ちょうちん)・傘などの多くが伝統的工芸品に指定されているように、竹は高機能を果たす材質として知られています。
また、竹の節のおかげで、尺八の音は甲高く響き、弓道で使われる弓は曲げに耐えられるのです。
また、日本の有名な管楽器である尺八は、竹の節がそのまま笛として使われ、細胞が密になっている節の部分を吹くと甲高い美しい響きを奏でることができます。
日本の伝統的な弓道に使われる竹弓は、弓の弦を引くときに大きな力が加わっても、節があることで曲げ座屈を防ぎ、よくしなるのです。
どんな研究をしているの?
竹の節の構造とその力学的メカニズムについて研究されました。
その結果、竹の幹(桿)にある節は、一定の間隔に配置される事で、曲げ座屈(ざくつ)を効果的に防いでいることが分かりました。
竹の構造を模倣したプラスチック製の節つきの円筒が作成され、その曲げ強度は節の数と比例して高くなることも分かりました。
どんな技術開発ができるの?
地震のときに発生する水平方向の力を回避するために開発された「節付き壁杭」は、壁状の杭(くい:建築物を建てる際、地中に打ち込んで、支柱にする棒)に節をつけることで、従来からある節のない杭に比べ、荷重を支える力を大幅に増加させることに成功しました。
【参考】
・上田弘一郎 『竹のはなし』
・
生物材料工学(小幡谷):竹のしなやかさ
・
Bamboo Home page:タケノコの驚異的な伸びぶり