更新日 : 2012-11-25 17:09:35
SOS信号でボディーガードをおびき寄せるキャベツ
なにがすごいの?
葉に穴だらけのキャベツ、犯人は腹ぺこ青虫です。
こんな姿になってしまったキャベツですが、青虫に食べられ続けられるのもたまらないので、ある作戦で青虫をやっつけようとSOS信号をだして、天敵バチというボディーガードを呼び寄せます。
キャベツの放つSOS信号は、天敵ハチの好きな香りなのです。
キャベツにおびき寄せられた天敵蜂は、青虫の体に卵を産みつけます。
寄生された虫はやがて、死んでしまいます。こうしてキャベツは青虫から実を守っているのです!
キャベツの害虫である青ムシに寄生してその成長を鈍らせる天敵バチは、頼れる格好のボディーガードなのです。
どうやって役立てるの?
植物が害虫の天敵を呼ぶために出す香り(化学物質)を農薬替わりに使えば、特定の害虫を退治することができるでしょう。
一般に使われる農薬は化学成分を含み、人や環境への悪影響が伴います。
キャベツの出す匂いは天然由来の植物抽出成分であり、環境への負荷が低い殺虫剤です。
どんな研究をしているの?
京都大生態学研究センターの高林純示教授は、コナガの幼虫に食べられたキャベツが天敵の寄生バチに臭い = SOS信号を送っているとことを発見しました。
ハチはこの信号をたどって、獲物である幼虫の居場所をつきとめます。
植物が放つ信号は、「みどりの香り」と呼ばれるアルコールやアルデヒド、さらにテルペン類といった揮発性の四つの化学物質のブレンドで構成されている事がわかりました。
また、キャベツにつく別の害虫に対して、キャベツは異なるブレンドの緑の香りを放出していることが分かりました。
どんな技術開発ができるの?
病気や害虫から作物を守る農薬は農業に不可欠な存在ですが、効果の強い農薬ほど環境や人体への影響も大きいといえます。
天敵と害虫の関係を利用する害虫駆除の研究は、新しい農業技術の開発に繋がるかもしれません。
【参考】
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植物-害虫-天敵間の匂いによるネットワークを研究 | 特集記事 | NatureJapanJobs | NPG Nature Asia-Pacific