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Jeremy W. Galusha, Matthew R. Jorgensen, and Michael H. Bartl, Diamond-Structured Titania Photonic-Bandgap Crystals from Biological Templates, Adv. Mater., 22, 107–110, 2010.
昆虫の中には、タマムシや
カメムシのように、構造色の仕組みによって、見る角度によって色がカラフルに変化する金属光沢の外骨格を持つものがいます(以前に、ここで紹介した
モルフォチョウの美しい羽も同じ仕組みでしたね)。
ブラジル原産で体長2-3センチのゾウムシ(Lamprocyphus augustus)も、美しい緑がかった玉虫色の外骨格を持っています。
ところが、このゾウムシの外骨格は、どの角度から見てもまったく同じ緑色に見えるのです。
この色の見え方の秘密は、外骨格を形成するキチン質*分子のミクロの世界での並び方にありました。
なんと、ゾウムシを形成するキチン質分子の並び方はダイヤモンド中の炭素原子と全く同じ並び方をしているのです。
ダイヤモンドの結晶は、炭素の原子同士が一本の手で繋がって結晶を作っているために、ある特定の波長の光がどの方角から入ってきても、透過させず反射する性質を持っています。
そのため、ダイヤモンドはどの角度から見ても透明に見えるのです。
生物進化の中で生まれてきたゾウムシは、大昔の地球の火山活動で作られたダイヤモンドと同じ構造を外骨格に持つ、凄い昆虫なのです。
※キチン質 : エビ、カニといった甲殻類や昆虫の外骨格の主成分となる物質