更新日 : 2012-11-25 09:26:20

ヒレを丸めてスイスイ泳ぐブルーギル

なにがすごいの?

ブルーギルは、北アメリカ原産の淡水魚で、えらの縁(鰓耙)が青く輝く事からその名がつきました。
1960年代に新たな食糧源になる事を見込まれて日本に持ち帰られたブルーギルは予想以上に大繁殖し、今では地域の自然環境に悪影響を与える外来魚として有名です。

ブルーギルは、音や気配もなく、波すら立てずに突如現れます。
水中で忍者のような隠密行動を可能にする秘密は、胸ヒレの動きにあります。
胸ヒレを前後に動かす魚の場合、胸ヒレを後から前に返す時に、水の抵抗が生じます。しかし、ブルーギルは、胸ヒレを前に動かした後、胸ヒレの上部と下部をU字型に丸めることで水の抵抗を最小限に抑え、スムーズに泳ぐことができるのです。

どうやって役立てるの?

効率的に推進するブルーギルの胸ビレの動きをヒントに、ブルーギルのヒレ型推進装置が開発されるかもしれません。

どんな研究をしているの?

米国の研究者は、ブルーギルの胸ビレの動きを詳細に分析し、効率的な推進に貢献している動きを特定しました。
そして、その仕組みを人工ヒレに取り入れました。

ウレタン・プラスチック製のヒレとナイロン製の腱を制御するポリマー(高分子材料)に電気を通して動く人工ヒレは、ブルーギルのようにヒレの上下を丸めて推進することができます。
人工ヒレの開発は未だ実験段階です。

胸ビレの動きと背ビレや尾ビレとの関係、又、胸ビレと体の他の部分との関係等を分析することで、推進速度に関わらず動きを制御できる、高い操作性を持った水中ロボットが開発できる、と研究チームは予測しています。

どんな技術開発ができるの?

現在の潜水艦には、スクリュープロペラ式の推進装置が使用されていますが、キャビテーションと呼ばれるスクリューから発生する気泡による損傷と騒音が問題となっています。

人工ヒレで動く水中ロボットは、騒音が少なく、またヒレの耐久性やエネルギー効率にも優れます。

将来は、機雷の排除や港湾の監視、資源探査などに使われる水中ロボットの開発が期待されます。

【参考】
BBC NEWS | Technology | Robot fins to propel submarines(英語)
MIT team building robotic fin for submarines - MIT News Office(英語)
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