更新日 : 2012-11-25 09:11:42
ハチ毒に含まれる抗菌性ペプチド「メリチン」
なにがすごいの?
ハチに刺されると痛いのは誰もが知っていることですが、この毒の主成分はメリチンという以前ここでご紹介したカエルの抗菌性ペプチドマガイニンやテンポリンのようにアミノ酸が26個つながったペプチドでできています。
メリチンは細菌などが体内に入ったときに、その細胞膜に穴をあけて細菌の細胞を壊すことができる抗菌性ペプチドで、赤血球の膜にも結合しやすい性質をもつため細菌の細胞を分解し殺菌してしまうのです。
ハチ毒に含まれるメリチンは細菌の感染防止だけではなく、細菌類の分解の効果もあるハチの重要な免疫システムの一つなのです。
※ペプチド : アミノ酸が2個から数十個ほどつながったもの
どうやって役立てるの?
殺菌効果のあるメリチンを薄めて土壌に加えることで効果的な生物農薬となるかもしれません。
どんな研究をしているの?
メリチンが水にも油にも溶けやすい性質を持つ26のアミノ酸でできていることが分かっており、メリチンがどのように細胞膜を分断し、相互作用を起こすのが立体的なモデル解析が進められています。
メリチンは細胞膜に垂直に貫通する構造をとることが明らかになりました。
またどの細菌に対して抗菌性をもつのかについて調査がされています。
どんな技術開発ができるの?
ハチ毒よりも副作用の少ないメリチンを使った痛みの研究が進めば、新しい痛み止め薬が開発されるかもしれません。
【参考】
・
Naito Laboratory
・
痛みと鎮痛の生理学