更新日 : 2014-02-11 08:06:32
ナイフフィッシュの幼魚の吸着器官
なにがすごいの?
以前ここでご紹介した
デンキウナギの仲間には体が平たくナイフのようであることからナイフフィッシュと呼ばれる種類がいます。
南米アマゾン川に生息するゴーストナイフフィッシュの幼魚は、自分の体を海底につなぐための特別な吸着器官を持っています。
その器官は主に頭部に位置し、粘液成分の多い粗面小胞体や接着性の物質で満たされているゴルジ体などの細胞小器官(細胞内で機能を持つ構造体)を多く含んだ接着細胞と上皮細胞の複合体でできています。
体の他の場所の上皮細胞とは違って、この吸着器官の上皮細胞は接着性物質を集め、それらを保護するのに役立つ4~10
ナノメートルほどの長さの小さな突起を持っています。
体の表面にはこの吸着器官の接着細胞の先端部が飛び出ていて、接着性物質が集まり接着性の糸として集合し始めるのと考えられています。
この吸着器官によって、ゴーストナイフフィッシュの幼魚は親が作った巣の近くから流されないように体を固定し、成長することができるのです。
どうやって役立てるの?
細胞と突起を使って接着性の糸を作り出すシステムは水中で使える強固な接着剤の人工的な開発に役立てるかもしれません。
どんな研究をしているの?
吸着器官を持つナイフフィッシュの幼魚について、その正確なメカニズムはまだ分かっていませんが、頭から突起したこの器官を覆う密集している微繊毛が接着性の糸が集合し始める場所として重要な役割を果たしていると考えられています。
この吸着器官の微小な突起は、海底で渦巻きが起きたときに接着性物質を周辺にばらまく働きがあるとも言われています。
突起によって接着性物質と上皮が接触する面積を増やし、接着性を強めているのかもしれません。