更新日 : 2014-01-07 21:25:11

タコのジェット噴射

なにがすごいの?

タコは吸盤がついた蝕手が目立ちますが、その隙間には呼吸のための水を取り入れる外部とつながる外套腔(がいとうこう)とよばれる空洞があり、魚のえらの役割をします。

タコは以前「筋肉で吸い付くミズダコの吸盤」でご紹介したように筋肉がとても発達していて放射状、円形、縦方向の筋肉の3種類の筋肉が互いに協調し、相互作用することにより複雑な動きをします。

タコが外套腔から水を出すときには円形の筋肉が縦方向に収縮し、横に伸びようとします。
しかしその間に縦方向の筋肉が伸びて、円形の筋肉が伸びることを阻害します。
この間、放射状の筋肉は伸びた状態のままなので外套腔を覆っている膜は薄くなり、水を勢いよく出す「ジェット噴射」が起こり噴出した力で泳ぎます。
ジェット噴射の後は、放射状の筋肉は収縮し、外套腔の膜は薄くなり再び外套腔は水で満たされます。
3種類の筋肉をうまく利用して、水を後ろに勢いよく噴出したジェット噴射でタコは泳ぐことができるのです。

どうやって役立てるの?

いくつかの機能をもった部品を折り畳ませて多機能な構造を作る技術にタコの筋肉の動きは役立つかもしれません。

どんな研究をしているの?

タコのジェット噴射を可視化しようという研究が行われています。

同じジェット噴射で墨を出すイカは漏斗という器官から粘性のある墨をジェット噴射するのに対し、タコは粘性のないサラサラとした墨を煙のように海中にばらまき、相手の目をくらましていることが分かりました。

イカ墨の粘液物質にはうまみ成分のアミノ酸などが含まれているのでイカ墨パスタがあるのに対し、タコ墨は粘液物質がないので調理には使われていません。

どんな技術開発ができるの?

また乗客の人数に合わせて、長さを変えることができるような新しい乗り物の開発に活かせるかもしれません。

【参考】
・Harun Yahya., Design in Nature. London, Ta-Ha Publishers Ltd., 180, 2002
icataquo.jp(九州大学大学院工学研究院 環境社会部門 水圏持続学講座 生態工学研究室(清野研))
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