更新日 : 2013-11-12 21:32:28
不格好でも、ハコフグの体は頑丈で抵抗の少ない設計
なにがすごいの?
ハコフグは、その名の通り「箱形」をしたフグの仲間で、英語でもボックス・フィッシュ(box fish)と呼ばれています。
尾びれや胸びれを、パタパタと一生懸命動かして泳ぐ様がユーモラスなハコフグですが、その形には素晴らしい性能が秘められているのです。
流線型ではない形は抵抗が大きそうに見えますが、意外にも水が滑らかに流れて抵抗が少ないのです。
ハコフグの一番の特徴である箱形は、鱗(うろこ)が変形した「骨板」と呼ばれる堅い板が連結してできており、外敵から全身を守る非常に頑丈な甲羅として働いています。
見た目は不格好な上、他の魚のように体全体をくねらせて速く泳ぐ事はできませんが、その代わりに、ハコフグは防御と流体抵抗に優れた素晴らしい骨格を持っているのです。
どうやって役立てるの?
車の車台にハコフグの形状と骨格を応用して、軽くて、安全性と燃費に優れた車の開発に役立てることができます。
どんな研究をしているの?
ハコフグをモデルにした車を使って走行実験を行ったところ、実際に流体が滑らかに流れて抵抗が少ないことがわかりました。
モデル実験から得られた結果を基にして、試作車「
バイオニック・カー」が作られました。
バイオニック・カーは、ハコフグの骨格を車体のボディ構造に応用することで、ドアパネルの強度は40%強くなりました。
さらに、この骨格を車体全体に取り入れることで、強度や衝突時の安全性を損なうことなく、重量を従来の3分の2まで軽くすることができ、また20%の燃料節約を達成できました。
また、バイオニック・カーは箱形をしているので車内が広く、快適に乗車することができる設計になっています。
どんな技術開発ができるの?
ハコフグをモデルした車体に、燃料電池やハイブリッドエンジンを搭載した次世代車の開発が実際に計画されています。
将来的には、乗用車だけではなく、ハコフグ型のバスやトラックのような大型車も開発しれるかも知れませんね。