更新日 : 2013-11-12 06:33:50

30階まで水を届ける木のエレベーター

なにがすごいの?

世界最大の木の高さは111.4メートルあります。
30階建てのビルの高さですが、木は根から吸い上げた水を電気もポンプも使わずに木のてっぺんまで送り届けることができます。

その秘密は、根が水を押し上げる力と、葉が水を吸い上げる力、その間の幹の中にある導管という管が水を切れ目なく運ぶ仕組みにあります。

どうやって役立てるの?

電気もポンプもいらない夢の省エネ給水システムにより水道代がタダに。

どんな研究をしているの?

大気圧力によって、真空管内で水を上昇させるのは10メートルが限度で、毛管現象によって上昇する液体の高さはほんのわずかです。
モーターを使っても100メートル以上も水を引き上げるのに必要な電力と比較すると、樹木がエネルギーをほとんど使わずに水を吸い上げる仕組みは驚異的と言えます。
根が水を押し上げる力(根圧)や葉が水を吸い上げる力(蒸散力)は、根や葉を構成する細胞の浸透圧によります。

また、導管の中を水が切れ目なく吸い上げられるためには水の表面張力が重要です。
途中に気泡が一つでも入ると、水の柱が切れてしまいます。
これを避けるように、導管は上から下までまっすぐ一本に貫通しているのではなく、太いのや細いのが絡み合ってジグザグの複雑な構造になっています。
特に凍結による溶存ガスの気泡化が生じやすい寒冷地の針葉樹にはこうした複雑な導管構造が観察されます。

どんな技術開発ができるの?

導管が水を汲み上げる仕組みから、高性能な浸透膜、細胞の溶液濃度コントロール、導管の配管構造、およびその全体のシステム・バランスが技術のヒントになると考えられます。
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