更新日 : 2013-11-08 07:58:50
ゆらぎのある暮らし
なにがすごいの?
ろうそくやたき火の炎がユラユラとゆらめくのをじっと見つめていて、落ち着いた気分になったことはありませんか?
炎が強くなったり弱くなったり、ゆっくり大きくゆれたかと思えば細かく小刻みにゆれ動いたり…
実は、炎は人間に安らぎを与える「1/fゆらぎ」という特別なゆれ方をしています。
小川のせせらぎ、そよ風、小鳥のさえずりなど、心安らぐ自然の現象はどれも1/fゆらぎを持っていて、不安定にゆらいでいます。
なぜ、1/fゆらぎは人間を落ち着いた気持ちにさせるのでしょう?
実は、私たち人間もたくさんの1/fゆらぎを持っています。
脈拍や目玉の動き、体温の変化、脳波などはすべて1/fゆらぎをしています。
詳しいことはまだよくわかっていませんが、生体のリズムが1/fゆらぎと同じなので、安らぎを感じるのだと考えられています。
自然現象だけでなく、クラシック音楽や伝統的な芸術作品にも1/fゆらぎがあることがわかってきています。
不安定さが人に心地よさを与えるなんて、なんだか不思議な感じですね。
どうやって役立てるの?
1/fゆらぎを生活の中に取り入れることで、都会の真ん中の自分の部屋に居ながらにして、高原や森林の雰囲気を体験することが出来ます。
例えば、清里・軽井沢などの高原、あるいは屋久島の森林などで採取した、時々刻々とゆらぎながら変化する風の速さや方向や日射量に関するデータを基に、パソコンで扇風機や電球などから作られる人工的な風や光に自然のゆらぎを与え、自然のそよかぜや木漏れ日を再現します。
どんな研究をしているの?
1/fゆらぎ発生の仕組みや、1/fゆらぎが人体に与える影響が研究されています。
1/fゆらぎは、自然界の色々な所に見られるのですが、どのような仕組みで現われているのかについて未知な部分が多く、良くわかっていないので研究が続けられています。
また、1/fゆらぎが含まれている様々な現象に対して、どうして心が安らぐのか、脳波測定(頭にターバンみたいのものを付けて脳から発せられている電気信号を測ること)や感性評価(アンケート集計をして気持ちの尺度を測ること)などを利用して理由を探っている所です。
どんな技術開発ができるの?
身の回りにある自然現象の中に存在する様々な“ゆらぎ”(時々刻々と変化すること)を応用して、人に快適な気持ちを与えてくれる装置を開発しています。
市販されている扇風機に、“1/fゆらぎ”ボタンがある扇風機を見たことがありますか?
これは、この分野の専門家である安久正紘先生が以前に考案したものです。
現在では、クーラー、各種の癒し(人の心をリラックスさせてくれること)関連商品などにも応用されています。