更新日 : 2013-09-23 08:55:29
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ハンマーで殴っても車でひいても大丈夫!丈夫なアワビの貝殻の秘密

なにがすごいの?

メガイアワビ
(C) kakisawa
陶器やレンガなど、土を焼き固めて作った材料を「セラミックス」といいます。
身の周りでも食器やタイルやヒーターの発熱体など広く使われていますが、宇宙開発やコンピュータなどの先端技術でも欠かせない材料です。

軽くて、硬くて、熱にも強いセラミックスですが、割れやすいのが最大の弱点です。
みなさんも花びんやお茶わんを落として割ってしまったこと、ありませんか?
アワビの貝殻もセラミックスでできていますが、落としたくらいでは絶対に割れません。
ハンマーでたたいてもなかなか壊れないほどです。

アワビの貝殻は、厚さ1マイクロメートル以下の薄いセラミックスの板を軟らかい接着剤で貼り合わせた「積層構造」になっていて、厚さ1ミリメートルの中に薄い板が1000枚以上重ねられています。
貝殻にヒビが入っても軟らかい接着層でヒビが止まり、薄板が1枚1枚少しずつ壊れるのでなかなか割れないのです。

どうやって役立てるの?

アワビの貝殻の内側。真珠のように光って見えるのは、実は真珠と同じ構\造を持っているからです。
(C) kakisawa
貝殻の割れにくさの秘密をいろいろなセラミックス材料に取り入れれば、それらをより安心して、壊れる心配なく使えるようになります。
また、自動車やロケットに使われている金属材料に取って代わることができれば、機械をより軽くすることもできるようになります。

どんな研究をしているの?

アワビの貝殻の断面の電子顕微鏡写真。きれいに光るのも、なかなか割れないのも、この積層構\造のおかげです。
(C) kakisawa
アワビの貝殻真珠層が割れにくい仕組みの解明が進められています。

積層の板を1マイクロメートル以下まで薄くすると、特性が急激に向上することや、積層構造界面の有機層が重要な役割を果たしていることがわかってきています。

どんな技術開発ができるの?

通常、人間が作る積層材料の中の板は薄くても数十マイクロメートル程度ですが、最近はアワビと同程度の厚さの板を積み重ねた「ナノ積層材料」を作る方法が様々な技術を応用して試みられています。

また、薄いセラミックスの板を貝と同じようなやり方で作る研究が行われています。
従来のように高温で圧力をかけて焼き固めるのではなく、室温、常圧でセラミックスを作る方法として注目されています。

【参考】
・B.L. Smith, et al. Nature 399, 761-763 (1999).

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