更新日 : 2013-09-14 08:10:36
木の芽も虫の羽も「三浦折り」
なにがすごいの?
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kakisawa
SF映画やアニメで、小さく折りたたまれたパネルが、宇宙空間でパッと開くシーンを見たことはありませんか。
東京大学名誉教授の三浦公亮先生が考案した「三浦折り」は、かさばらず、しかも簡単に一瞬で開いたりたたんだりできる折りたたみ方です。身の回りでは、携帯用の地図にも「三浦折り」が使われています。
三浦折りが発表されてから、自然にも同じ折りたたみ方が存在することが次々に発見されました。
例えば、昆虫の羽、木の芽の中の若葉がそうです。人間が考え出した折りたたみ技術は、実は自然界にすでに存在していたのです。
どうやって役立てるの?
もともと人間が考え出した三浦折りは、すでに実用化され応用の場が広がりつつあります。
ところで、自然界では、どうやって羽や葉に三浦折りの折り目をつけているのでしょう?
最近の研究で、やわらかい土台の上で薄い膜を固定して、ある特別な力のかけ方をすると、折り目が自動的に作られることが発見されました。
このメカニズムをもっと詳しく研究していくと、苦労して折りたたまなくても三浦折りが簡単に作れるようになるかもしれません。
また、小さくて手や機械でたためないようなところにも、三浦折りが使えるようになります。
どんな研究をしているの?
かたい薄膜をやわらかい基板上に拘束し、乾燥や熱収縮などで2軸の圧縮応力状態にすると、膜の収縮時に三浦折りのパターンが自発的に形成されることが突き止められました。
自然界の三浦折りもこれと同じ機構で形成されると推測されています。
どんな技術開発ができるの?
身近なところでは携帯用の地図やパンフレットにすでに実用化されています。
宇宙空間でも実際に三浦折りの二次元構造物を収納展開することに成功しています。
また、二次元のパネルだけでなく、三次元の構造物を小さく折りたたむ技術の開発も進んでいます。
【参考】
・
ミウラ折の紙地図|活用事例|知的財産利用|JAXA産業連携センター
・L. Mahadevan and S. Rica, Science Vol. 310 (2005) 1740.