もし水族館などに行ってイルカを見る機会があったら目に注目してみてください。
目を閉じてゆっくりと泳いでいるイルカがいると思います。
人間が寝返りをうてるように、イルカは泳ぎながら眠ることが出来ます。
しかし中には片目を開けているイルカがいます。
人間に限らず動物は普通、眠っている時は両目を閉じていますが、片目だけが開いているというのはどのような状態なのでしょうか?
実は片目だけを閉じているのは脳の半分だけが眠っている状態で、これはイルカなどの鯨類や渡り鳥が行なう半球睡眠という睡眠方法なのです。
人間に限らず、多くの生物の脳は左右に分かれていますが、その片方は起こして、開いている片目で周囲を警戒し、緊急時にすぐに行動できるようにしているのです。
特に親イルカは子供が小さい頃は子供に向いている目を常に開けていて、文字通り片時も目を離さず見守っています。
また、カモメやアホウドリなどの渡り鳥も半球睡眠をします。
渡り鳥は季節によって住む場所を過ごしやすい気候の所に変えますが、その時に長距離を移動するので半球睡眠をしながら飛び続けます。
警察や建物の警備など、長時間の待機が続き、緊急時には素早い行動が必要とされる状況で半球睡眠が出来れば、集中力を保ちつつ緊急時に素早く対応することが出来るようになります。
また、生物によって脳の構造は多少違いますが、脳が働く原理は基本的に同じと考えられています。
ですから、イルカの睡眠のメカニズムを解明することで、ヒトの睡眠障害の治療に役立てることが出来るかもしれません。