更新日 : 2013-09-02 09:11:35
イルカの脂肪は、スポーツ万能の秘訣
なにがすごいの?
世界中のいろいろな海に生息しているハンドウイルカ。
海水の温度が変わっても、体温を一定に保つことができるのです。
イルカの体の20%を占めている脂肪が、体温を調節しているのです。
脂肪のおかげでイルカは、海が寒くなっても、体温が下がることもありません。
人間では余分なものというイメージの脂肪ですが、イルカにとっては寒い海で泳ぐために必要なものなのです。
イルカは生まれたときから、脂肪の割合が多いため、すぐに泳ぐことができます。
それだけではありません。
脂肪はイルカの頭や、耳、背びれと尾びれの間など体の色々な場所についています。
これらの脂肪は、体温調節や運動能力の向上、聴力など様々な役割を持っています。
どうやって役立てるの?
イルカの脂肪と同じ機能をもった素材を開発できれば、冬の海でも快適に泳げるスイムウェアを作ることができます。
イルカのように水中の音を増幅できるようなスイムウェアが出来ると、より幻想的な海中散歩ができるかもしれません。
医療の分野ではアキレス腱などを怪我した人の、新しい補助器具としてイルカの脂肪が役立つかもしれません。
どんな研究をしているの?
温度変化の激しい海で生息している野生のイルカの体の大きさと脂肪との関係の調査が続いています。
また、胎児のイルカと大人のイルカでも比べられました。
イルカは成長段階において、脂肪をつくる脂肪細胞の数が増えていくのではなく、脂肪細胞の大きさが大きくなっていくことも分かりました。
この脂肪細胞については顕微鏡で詳しく形や大きさが調査され、脂肪と運動で使われる筋肉との関わりが研究されています。
イルカの背びれと尾びれの間の脂肪は伸縮性の繊維であることが発見されました。
運動により収縮した筋肉の間のエネルギーを骨に伝える腱と同じ方法で、この脂肪は運動の効率をあげているのです。
またイルカの脂肪は、水中で音を聴くための音波の増幅や減衰にも高い特性を持っていることが分かりました。
【参考】
・D. J. Struntz et al, Blubber Development in Bottlenose Dophins, Journal of Morphology, 259, 7-20, 2004