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Kouji Takido
高い木に絡んで成長するつる性の植物アルソミトラ・マクロカルパは、熱帯アジアの島々に生息しています。
この植物は、私たちの頭がすっぽりと入るヘルメットのような大きな果実を付けます。
1つの果実の中に入っている種子の数は、なんと約400個!
この種子を出来るだけ広い範囲に散らばせるために、種子はブーメランのような形をしており、空中を掴んで遠くまで運ばれます。
また、ひとつずつ形が完璧に同じではないので、飛び方も微妙に違ってきます。
そのため、これらの種子は色々な場所に落ちていき次の世代が広範囲で育っていくのです。
マツやカエデの種子は、風を使って回転しながら真下に落下します。
しかし、熱帯雨林に生息するアルソミトラは風を待つことはできません。
風を使わずに、絡みついた高い木からグライダーのように飛んで、種子を遠くに飛ばします。
熱帯雨林にはたくさんの木が密集しているので、風が少ないからです。
アルソミトラは木に絡みつき、高いところからグライダーのように飛ぶことでより遠くに種子を飛ばすことを可能としました。
また熱帯では上昇気流があるので、それに乗ってさらに遠くまで仲間を広げる仕組みにもなっているのです。
このアルソミトラという植物の種子の形は、空を飛ぶのにとても適しています。
種子の構造を取り入れ、新しい乗り物として役立てるかもしれません。
アルソミトラの種子から作成した飛行機の安全性を高めることができれば、新しい形の航空機として活躍できるかもしれません。
また高層オフィスで地震が起きた場合、このアルソミトラの種子型の飛行機で私たちも空を飛んで災害から身を守ることができるかもしれません。
教育用の作成キットがあり、アルソミトラの種子の小さな模型を飛ばして遊ぶこともできます。
【参考】
・Azuma and Okuno (1987). A. Azuma and Y. Okuno, Flight of samara, Alsomitra macrocarpa. J. Theor. Biol. 129 (1987), pp. 263–274.
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草木図譜|アルソミトラ・マクロカルパ
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