更新日 : 2012-11-24 15:00:17
野生のゴムの木の樹脂はシロアリや菌に強い
なにがすごいの?
メキシコに野生するキク科のグアユールゴムノキの分泌物は粘着性がありゴム製品の原料としても使われていて、多く含まれる樹脂は木材を腐らせる菌類やシロアリを撃退する作用があります。
グアユールゴムノキの抽出物を他の木材に染み渡らせるとその木材には菌類やシロアリが寄り付かなくなり、さらに多くの量を染みこませると寄ってきたシロアリは死んでしまい、菌に対する抵抗性もさらに増すことが分かりました。
グアユールゴムに含まれる樹脂の成分である数種類の植物由来の天然物が、このような抗菌作用とシロアリ撃退作用を持つのです。
どうやって役立てるの?
グアユールゴムの樹脂成分は新しい木材資源の保存料として役立てることができるかもしれません。
どんな研究をしているの?
実験室において25平方cmの大きさで9mmの薄さに切断したサザンパインの木材を容器に入れて、グアユールゴムノキの樹脂抽出物を染みこませたところ、10%ほどの樹脂抽出物で褐色不朽菌に対して抵抗性をしめし、60%以上になると他の菌に対しても強い抗菌性を持ちました。
また50%以上の量でシロアリに対して抵抗性を持ち、パインの木に対して樹脂成分が97%になるとシロアリは死ぬことが分かりました。
グアユールゴムノキの抽出物については数種類のテルペノイド(炭素10個の化合物を単位とした生体が作る天然成分)が含まれていることが分かり、その成分解析が行われています。
どんな技術開発ができるの?
今までシロアリに悩まされていた木材家屋の保護や、木製のお風呂などのコーティングに役立てることができるかもしれません。
新しいカビ防止剤の開発に活かされるかもしれません。
【参考】
・Nakayama et al., Guayule as a wood preservative, Industrial Crops and Products, 14 , 105–111, 2001