更新日 : 2013-08-10 22:04:18
蚊に刺されても痛くない
なにがすごいの?
予防注射や採血検査、あるいは麻酔をかける時に、チクッと針が刺さって痛い思いをした経験がありますか?
痛いのは一瞬だと分かっていても、針が刺さる瞬間は嫌なものですね。
けれども、私達が蚊に刺された時には、刺されたことや痛みを感じないのはなぜなのでしょうか?
その秘密は、蚊の口である針の形状にあります。
針はキチン質というしなやかな物質でできていて、太さは80
マイクロメートルと非常に細く、また、先端がノコギリのようにギザギザしています(写真2)。
この針を皮膚に突き刺すのではなく、上下に細かく振動させながら、皮膚や筋肉の細胞を押しのけるようにして、切り開きながら刺してゆくのです。
針自体が非常に細く、さらに先端がギザギザしているおかげで皮膚と接触する面積が小さくなり、摩擦が少なくなります。
こうして、蚊は人や動物に気づかれないように針を刺し、血を吸うことができるのです。
どうやって役立てるの?
糖尿病の治療には、インシュリンという物質を毎日注射しなければなりません。
刺しても痛くない針が開発されたら、患者さんたちは注射針の精神的な苦痛から解放されることでしょう。
予防接種を受ける機会が多い小さな子供達にも、針の怖さと痛さを感じさせずに済むようになるかも知れませんね。
どんな研究をしているの?
蚊の針の形状を真似た、太さが50~85
マイクロメートルの、痛みの少ない医療用のマイクロ注射針が開発されています。
さらに、人体への安全性を考慮した、害の少ない材質を使った注射針の開発が進められています。
針の太さを小さくすれば刺した時の痛みは軽減できますが、細いために針そのものが折れやすくなってしまいます。
そこで、どれくらいの太さの針であれば痛みを許容できるかを調べる実験も行われています。
【参考】
・東海大学精密工学科 槌谷研究室
関西大学ロボット・マイクロシステム研究室(動画あり)
~おまけ~
蚊に刺された所が痒くなるのはなぜでしょう?
蚊の唾液には血液の凝固を防ぐタンパク質が含まれており、血を吸う前に唾液を人の皮膚に注入します。
注入された唾液は吸った血と一緒に蚊の体内に引き戻されますが、途中で蚊を叩き潰してしまうと注入された唾液が皮膚に残り、アレルギー反応を起こして痒くなるのです。
蚊が吸血しているのを見つけたら、すぐに叩き潰すのではなく、たっぷり血を吸わせてやれば後で痒くならないと言われています。
「そんなの嫌だ!」という人は、叩き潰さずに、指で蚊を弾くようにすると、唾液が皮膚に残りにくいので痒みも抑えられるはずです。