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Jurek Durczak
ウマは、人や荷物を運んだり農耕のために鋤(すき)を引いたりと、古くから人との関わりがとても深い動物です。
そんな働き者のウマの足のつくりを見てみましょう(写真1)。
人の足の「すね」に見える細く長い部分は、「第三中手骨」という一本の太い骨から成っていて、ここで前肢にかかる全体重を支えています。
骨の断面を見ると、真ん中に血管を通すための穴(あな)が空いており、さらに孔の周りには小さな穴がたくさんあることがわかります(写真2)。
穴の空いた固体に圧力が加わると、孔の周りに力が集中してそこからヒビが広がり、破損の原因となってしまいます。
ところが、ウマの「第三中手骨」には大きな力が加わっても、簡単に折れることはありません。
なぜでしょう?
その秘密は、たくさんの小さな孔にあります。
大きな穴の縁(ふち)に集中した力を、小さな孔が周囲のより頑丈な部分へ逃がす働きがあるのです。
このたくさんの小さな穴によって、骨の内部にヒビが入ったり、小さなヒビが成長したりすることを防いでいるのです。
小さな穴はウマの進行方向に多く偏っていて、前進するときに足にかかる大きな力を逃がすためなのです。
また、穴があることで、骨の重さを軽くすることができます。
骨の強度を保ちながら、骨の軽量化にも成功しているウマは凄いですね。
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「馬に見られる病気」、BTCニュース 72号、2008
構造物の強度を落とさずに、軽量化させたい場合に役立てることができます。
ニューヨークのユニオン大学機械工学科のランポフ博士は、ウマの骨の構造の特徴をヒントに、同じ重さでも強度が2倍のプレートの開発に成功しています。