更新日 : 2013-08-03 08:27:57
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美貌で敵を寄せつけないカメムシの秘策

なにがすごいの?

カメムシは、世界中の様々な環境に生息している昆虫です。
背中の色は、青、緑、虹色などカラフルな色をしています(これを構造色と呼びます)。

しかし私達にとってきれいに見えるその色は、実は敵(カメムシを食べる生物)にとっては「まずいシグナル」でもあります。
カラフルな色を利用して、カメムシは敵に「自分は臭くてまずいよ」という警告を発しているのです。
他の昆虫はカメムシの綺麗な背中を見ると、悪臭を思い出して逃げるという仕組みです。
カメムシが、「まずいシグナル」として作り出す色は、同じカメムシでも生息場所や種類によって異なります。
このように、カラフルな色を出すことによって、多くの環境に適応して生きていくことができるのです。

どうやって役立てるの?

カメムシの持つ様々な色を出す方法を利用すれば、今までよりも安全で新しい色が私たちの生活に出現するかも知れません。

例えば、食器や家具に用いれば、つやのある色をした食器や家具を作ることができます。
洋服に用いれば、キラキラした綺麗なドレスが作れるかもしれません。
さらにビルの外壁や室内照明に用いれば、見る人の心を動かすものが出来上がるかもしれません。

どんな研究をしているの?

カメムシが色を出す方法について研究されています。
カメムシの背中には、細かく透明で先が細くなった小さなボツボツがついています。
背中に光が当たると、そのボツボツで例えば光の中の青い色よりも赤い色をいろいろな方向へ飛ばしてしまうと、背中はきらきらしたきれいな青色になります。

また黄色から緑色、赤茶色の背中をもつカメムシは、違ったわざで色を出しています。
その背中の表面には、薄い膜がたくさん重ねられています。
上側の層は光を反射する明るい色をしていて、下側の深いところにある層は暗い色をしています。
それらの組み合わせにより、決まった色が出るようになっています。
特に赤茶色の背中は、比較的少ない数の層からでできており、暗い色をした層は用いられていないことが分かりました。

どんな技術開発ができるの?

構造色の原理を利用して、光を反射したり、紫外線を吸収したりする化粧品ができれば、女性には朗報でしょう。
光の当たり方や見る角度によって色が変化する機能から、軍用のカモフラージュ塗料やこれまでにない繊維製品が生み出されるかも知れません。

【参考】
・川瀬 進 “ポリメチルメタクリレート粒子” 繊維学会誌, Vol. 60, No. 7, pp.P_371-P_375 (2004)
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