更新日 : 2013-10-19 08:49:56
光によって動く植物マランタ
なにがすごいの?
マランタは南米の熱帯雨林に生えている多年草で、観葉植物としても楽しまれています。
野生のマランタが生息するのは林床(ジャングルの地面付近)です。
ジャングルは葉や枝が密集して育っているので、マランタの生息する地面付近には植物が生きるためのエネルギー源である光があまり届きません。
マランタは光の少ない場所でも光をなるべく多く体内に取り入れる「運動」をしています。
昼間は葉を広げて、できるだけたくさんの光を集め(写真上)、夜になると葉を閉じます(写真下)。
そして次の朝にまた葉を広げる時、周りの植物よりも上に葉を広げ、光を多く集めるのです。
どうやって役立てるの?
マランタは光によって周期的に葉の位置を動かします。
私たちの生活の中では、日光や太陽熱を利用する時に、この仕組みが役に立ちます。
例えば太陽光発電では、太陽光パネルにたくさんの日光を集める必要があります。
太陽は時間によって位置を変えるので、それに合わせてパネルの角度も変わるようにすれば、いつも発電量が最大になるでしょう。
また、家やビルの窓にあるブラインドの開く角度を室内温度と時間・天気・日射量の関係から、自動調整するシステムも便利です。
これによって、時間ごとに最も効率的な部屋の温度調整ができます。
どんな研究をしているの?
マランタの葉は太陽が最も当たる時間に向けて急速に広がり、太陽が隠れるとともに葉は閉じていくことが分かりました。
マランタの葉はそれぞれ回転する角度が決まっているかのように動き、低い位置の葉も太陽の光を浴びると考えられています。
回転のメカニズムについては、詳しい研究が行われています。
どんな技術開発ができるの?
マランタのように日照条件によって、太陽光を取り入れる角度を自動調節できる屋根を開発できれば、温室での農作物の栽培が今までよりも管理しやすくなるでしょう。
【参考】
・Herbert, T.J., Larsen, P.B., Leaf movement in Calathea lutea (Marantaceae),Oecologia, 67, 238-243,1985