更新日 : 2013-07-03 20:03:26
マグロに学ぶ新しい潮力発電
なにがすごいの?
流線型のボディ、大きな三日月型の尾ビレとそれを動かす強力な筋肉、これらのおかげで、マグロは海中を高速で進むことができます。
外洋(水深200m よりも深い海域)を回遊生活するマグロは、体の前の方はあまり動かさず、尾ビレの付け根から後ろだけを振り子のようにくねらせて推進力(前方へ泳いでいく強い力)を得ています。
これは「マグロ型泳法」と呼ばれていて、マグロの他にもサメやサバに見られる泳ぎ方です。
この泳ぎ方は動かす部分を少なくし、水の流れに対して体をできるだけ一直線に保つことで水の抵抗を抑えられます。
無駄なエネルギーの消費を抑えられるので、マグロのように高速度で泳ぎ続ける魚にとっては効率の良い泳ぎ方なのです。
どうやって役立てるの?
オーストラリアにあるバイオパワーシステムズ社は、マグロのヒレの動きに着想を得た「バイオストリーム」という名の潮力(潮の流れ)を利用する発電装置を開発しました。
全長20メートル、全高15メートルのこのバイオストリームは、マグロ型泳法の推進方法を逆に動かすことで機能しています。
揺らぐ潮流に合わせて「ヒレ」が「くねる」ことで、装置全体が固定軸に対して回転して発電します。
つまり潮流の振動を回転運動に代え、それによって発電器を駆動させているのです。
回転運動を利用するといっても、風力発電のようにプロペラが回る訳ではないので、海の中の生物に危害を加えてしまうことはありません。
また回転するタービンの部分は装置の中に入っているので、海洋生物がぶつかってタービンを傷めることもありません。
bioSTREAM | BioPower Systems(英語 動画あり)
どんな研究をしているの?
タスマニアのフリンダーズ島では、実際に250キロワットの発電能力を持つバイオストリームが設置され、試験的な発電が行われています。将来的には、タスマニアの電力網に繋いで、電力を供給することも考えられています。
どんな技術開発ができるの?
原油価格の高騰や環境問題への社会的意識の高まりから、今までのエネルギーに変わる新しい再生可能なエネルギーとして、風力発電とともに波力発電が注目を集めています。
周囲を海に囲まれた日本なら、バイオストリームのような波力発電を活用できる可能性がありますね。