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alisa7248
ナナカマドはバラ科の樹木で、街路樹としても植えられています。
とても硬く丈夫な木で、「7度かまどに入れても燃え尽きない」ことからこの名前がきました。
夏の終わり頃から、緑色の実は熟しはじめ、秋には葉とともに、きれいな赤色になります。
このナナカマドの実には、とても不思議な性質があります。
この実は、真っ赤に熟しきってもそれから腐ることはなく、やがて葉が落ちても、雪が降ってもずっと枝の上に残っているのです!
白い雪に映える赤い実とのコントラストはとても美しく、庭にナナカマドを植える人も少なくありません。
フランスのある研究者は、ナナカマドの実が腐らないことを不思議に思い、その理由を調べてみると、ナナカマドの未熟な実に含まれるソルビン酸という成分が原因であることをつきとめました。
ナナカマドの実は、このソルビン酸という物質のおかげで腐敗せずに赤く美しく保たれていたのです。
*保存料とは、食品の微生物による腐敗、変敗を防止することにより、食品の保存性を向上する目的で使用される食品添加物です。
ナナカマドの赤い実を腐敗から守るソルビン酸を、私たちの食べ物の腐敗から守る保存料として利用することができるでしょう。
現在一般的に使用されている保存料の中には、カビには利いても細菌には効かない、といったように効果のある微生物の種類が限定されてしまうものが多く存在します。
ソルビン酸はカビ、細菌、酵母などの微生物に幅広く作用するので、ウィンナーやかまぼこなど沢山の食べ物や化粧品の保存料として使われています。