更新日 : 2013-06-24 18:56:12
ミミズが泥だらけまみれにならない秘密
なにがすごいの?
私達は、湿った土を触ったりすると、手が土まみれになってしまい水で洗いながさなければなりません。
けれども、ミミズは、土の中にいても、決して泥まみれになってはおらず、きれいに、つやつやしているように見えます。
なぜでしょう?
その秘密は、ミミズが土の中を移動する時に自然にミミズの表皮に生じるマイナスの電荷にあります。
土の中に小さな粒として含まれる水はプラスの電荷を帯びているので、磁石のS極とN極が引き合うように、水はプラスの電荷を帯びたミミズの表皮に引き寄せられます(このとき、ミミズの表皮には40ミリボルトのごく小さな電圧が生じています)。
集まってきた水は、薄い膜のようにミミズの表皮を覆います。
この水の膜がバリヤーのように働くので、ミミズの表皮に土が付着することはなく、同時に潤滑剤(じゅんかつざい)の役割も果たすので、ミミズは土壌中をスムーズに動くことができるのです。
自然に発生する電圧を利用するミミズはとても賢いですね。
どうやって役立てるの?
電気を流すことで、工事現場で使われるブルドーザーやトラック、あるいは土を耕すトラクターのような車両から土を除去する技術として役立てることができます。
農業や園芸の分野では、土壌内で水を移動させる技術として役立てることができます。
どんな研究をしているの?
中国の研究チームが12ボルトの電流をブルドーザーのブレード(排土板)に流す実験を行った結果、最大32%のブレードへの土の抵抗が減少することがわかりました。
トラクターを使った同様の実験では、最大で18%の土の抵抗減少と12%の燃料節約の効果があることもわかりました。
現在は、中国とイギリスの共同研究チームが、さらに効果をあげるためにコンピュータ計算を行っています。
どんな技術開発ができるの?
トラクターのような農耕用の車両、ブルドーザーやトラックのような工事現場や鉱山での掘削に使われる車両が、土壌で汚れることを防げるようになるかも知れません。
土を取り除くための洗浄が必要ないので、洗浄水や人手を節約することができます。
農業分野では、植物の生育のために土壌内の土から水を集める技術や、逆に乾いて堅く圧縮された土に水を通して土壌を回復させる技術として応用できるかも知れません。